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業務内容

A.芝生管理 概説

芝生の管理は、刈込、施肥、目土、散水、エアレーション、病害虫防除、雑草防除などの作業を芝生の利用目的に合うように、組合せて、その実施時期、頻度を決め、管理体系をつくることが大切である。しかし芝生の管理レベルが、年間2回程度の刈込しかしない道路緑地と、年間100回以上も刈込するゴルフグリーンとでは質、量共に大きな違いがある。

管理体系をつくるために 
1 管理目標(レベル)をたてる。
2 利用密度を知る。
3 管理内容を決める。 

  これらの3つの関係を関連づけることが大切である。さらに
1 芝草の生育型
2 成長度 
3 土壌  
4 気候  
5 芝生の利用目的
  などの管理作業の内容を決める要因についても検討しなければならない。

管理内容がちがう芝生を管理するためには、管理の集約度に応じて、4つのクラスに分けて管理体系をつくることが必要である。 
@ 管理集約度Aクラス
   ゴルフ場グリーン、グラステニスコート 
A 管理集約度Bクラス 
   ゴルフ場ティー、フェアウェイ、野球場、球技場
B 管理集約度Cクラス 
   公園、庭園、工場、学校、墓地、研究所 
C 管理集約度Dクラス 
   道路緑地、スキー場、堤防、飛行場

B.管理計画

芝生の管理作業を4つに分類する
(1) 育成管理---------刈込、施肥、灌水、目土、転圧、通気
(2) 保護管理---------生育診断、病害防除、虫害防除、雑草防除、生理障害
(3) 補修管理---------レノベーション、オーバーシーディング
(4) 利用管理

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(1)育成管理

刈込

刈込の目的と刈込によって得られる効果
@ 芝地の表面を円滑にする。
A 芝地の美観を高め、芝地個有の快適な感触を得る。
B 芝草の分げつとほふく茎の発生を促進して被覆密度を高め、緻密な芝生をつくる。
C 芝草の徒長を防ぎ、これを低い草生に維持する。
D 雑草の侵入を軽減する。
E 芝草の葉を減らして蒸散量を制限し、灌?水を節減する。
F 利用目的に合わせて草丈を調節する。

 

施肥

必須元素は植物の生育に不可欠の元素であり、このうちのチッ素、リン、カリ、カルシウム、マグネシウム、イオウの6元素は植物が必要とする量が多いので多量元素といい、その中でも、チッ素、リン、カリはとくに多量を必要とし、天然供給では不足するので別に施用しなければならない。これらの3つは3要素と呼ばれ、一方、マンガン、ほう素、鉄、亜鉛、銅、モリブデン、塩素は必須養分であるが、その必要とする量は少ないので微量要素という 。

肥料を施用するにあたって理解すべきこと
@3要素の中でもっとも多くの施用量を必要とするのはチッ素で、次いでリン、カリの順。
A 施肥は原則として生長期間に生育量に応じて行い、できるだけ頻繁に分施すると施肥効率が上がる。
B 火山灰ケイ酸等のリン酸吸収係数の高い土壌にはリン酸肥料の増施が必要。
C 刈込の回数が多いほど施肥量は多くする。
D 肥効を均一にするため、また肥効が過大にでるのを避けるためには、固形肥料りも液状肥料の使用がまさる。
E 暖地型芝草の萌芽の時期におけるチッ素の多肥は、地上部の茎葉の伸長を促進するが根や地下ほふく茎に貯蔵された養分を浪費し、かえって新根の発生を阻害する。
F 晩秋の施肥は、初冬の褐色を遅らせ、早春の根の成長を促進し、春の萌芽を早めると共に春の草勢をたかめる。
G リン酸肥料は土壌中の移動性が小であるので、その肥効を高めるには芝草の根圏近くに施用する必要がある。
H 低温時には硝酸態チッ素の肥効が他の形態のチッ素のそれよりもまさる。
I 芝草がストレス状態にあり、根の機能が低下している時は、尿素や糖の葉面散布が有効となる。

 

灌水

日本で広く用いられているコウライシバ、ノシバ、ベントグラスは、そのいずれもが、暖地であれば4月から11月ごろまで水を必要とする。すなわち、コウライシバやノシバでは、4〜5月の萌芽とこれに続く時期に十分な水分を供給してターフの被覆を早める必要があり、7〜8月の生育盛期には、高温多湿によって1年中で草勢がもっとも強くなるので、これに相応した多量の水の供給が必要となる。

 

目土

目土のもつ意義と目的
@ 芝地の表面の凹凸をなくす。これにより芝地を低く、均一に刈込むことができる、また、球技を行うスポーツターフでは、球の転びやバウンドにおける不規則性が改善される。
A 芝地の被覆を向上させる。
B 芝地に新しい土壌(砂)が培土として補給される。
C 床土の土壌改良が可能である。
D 植物栄養の供給手段となる。
E 芝地におけるサッチの集積とマットの形成が軽減される。
F 苗の新植や播種による造成に必要。
G 干害の軽減に有効である。

 

転圧

転圧による目的と効果
@ 芝地の凹凸(起伏)を修正する。
A ミミズ、モグラ、アリ等の小動物が芝地の表面に排出した土壌をならす。
B 播種、張り芝、播き芝等の造成作業の後に起こる土壌乾燥を防止し、幼苗等の活着と生育をたすける。
C 凍土した芝地が解凍する時に起こる土壌の膨軟化は芝草に乾燥害をもたらすが、これは転圧により防止される。
D 雑草の発生を軽減する。

 

通気

芝地は、これを継続して使用すると種々の原因でその状態が悪化し荒廃するが、このうち土壌固結、サッチの蓄積、排水不良、有害物質の土壌残留等に起因するものは通気作業により解消または軽減される。上記のような芝地の荒廃につながる要因の多くは更新作業によって改善される。
 土壌固結はスポーツターフにとっては宿命的な問題であり、土壌固結が進むと、土壌孔隙の減少、通気性と透水性の低下、芝草の根における呼吸阻害が起こり芝草の生育は不良となる。これらには主として土壌の穿孔が有効であり、定期作業として少なくとも毎年1回はおこなわなければならない。

(2)保護管理

生育診断

 芝生を健全な状態に育成管理し、利用に供するためには、現状の芝生がいかなる生育状態にあるかを定期的に的確に診断することが必要となる。
 一口に芝生の生育状態といっても、全体的に美しいか否か、生育量が旺盛か否か、活力があるか否か、過度の利用によって損耗しているか否か、生理障害・凍霜害などの気象害・病虫害などによる被害症状が発現しているか否か、また、プレーに適した生育状態となっているか否か、さらには雑草の発生状態がどうなっているかなどの様々な諸相がある。これらを大別すれば、審美性、利用性、生育性、障害性にわけられる。

芝生の生育状態の測定・診断手法
    審美性-------芝生地全体の状態
    生育性-------生育量
          活力状態
    障害性-------踏圧による損耗
          生理障害
          病害
          虫害
          気象害
          環境圧による障害
          茎葉の蒸れ
          根腐れ
          薬害
          雑草の繁茂
    利用性-------ボールの転がり
          ボールの弾み

病害虫防除

 芝生の病害は外観を損ない、育成を低下させたり芝草の枯死に至る被害がある。施肥作業は各季節に発生する病害虫を駆除又は防除し常に良好なターフコンディションを維持する為に行う重要な作業である。
 現在、わが国で発生している主要病害はゾイジア類では13種類、ベントグラス類では10種類である。病原の特徴としては、すべてが糸状菌(真菌)で、この性質をもつ病原菌は、植物組織を侵害するにあたって、菌量が多いことと、植物体の活性が低下していることの2条件が必要である(侵略力)、しかし、一旦発病し始めると、植物体に与えるダメージは大きい(発病力)、こうした3つの性質は、多くの植物病害において連動していることが知られている。芝草病害の特性を理解し、防除を考えるうえに重要なポイントである。

主要病害
  ピシウム性春はげ症
  リゾクトニア性春はげ症
  ラージパッチ
  さび病
  犬の足跡
  しずみ症   
  赤焼病    
  ピシウムブライト  
  ブラウンパッチ   
  フェアリーリング
  雪腐病 
  黄化症

 主要虫害
  芝に寄生する線虫類
  茎葉を食害するヨトウムシ類
  地下茎を食害するコガネムシ類


雑草

芝草を育てる上で、必ず発生するのが病害虫であり、芝草以外の草種である。雑草の侵入した芝地ほどその美観を損ない、スポーツターフにおいてはプレイ上支障を来すものはない。
雑草は、大別し1年生と多年生があり、冬季に緑色を保って過ごした雑草は 越年生という。

雑草防除の目的
 @ 雑草による芝生の日照障害、及び成長の抑制作用を除く
 @ 通風を良くし、虫等の発生を予防する。
 @ 美観の維持

生理障害

【自然障害】
自然障害とは、植生した芝草が、本質的に適してないために生理的に障害をおこしたもので、例えば、寒冷地芝草を暖地に植生し、そのために生じる生理障害である。

【人工障害】
これには外因障害と内因障害とにわかれる。
◆外因障害
植生時にはなかったが、その後外的条件が変わり、生理障害を起こした場合である。例えば、隣接地に高層ビルや高速道路ができ、日照、通風などを障害され、そのために生理障害をおこした場合である。

◆内因障害
これは管理技術の不良によって生じる生理障害である
 @ 育成管理不良による障害
 @ 保護管理不良による生理障害
 @ 農薬の散布による生理障害(薬害)

(3)補修管理

更新作業(レノベーション)

更新とは、荒廃した芝の再造成、補植、雑草防除含めたことをさしているが狭義には、薄くなった芝生を外科的手術をしないで土壌の働きを回復させ、芝生の若返りをはかるためである。最近、更新機械の開発がすすみ、芝生面を著しく攪乱しないで、土壌を耕すことが可能になった。よって土壌固結の緩和とか、過剰サッチの除去、分解促進、土壌のエアレーションが行われ、老化した芝草の生理的機能の活力をとりもどすことができる。すなわち、数種の更新作業が普及している。更新作業は芝草の栽培管理作業の1つとして、欠かすことのできないものである。

更新の必要性

芝草をひんばんに刈込し、多肥栽培すると過剰に分げつし、サッチが蓄積しやすくなる。やがてサッチが過剰にたまると、透水性が不良となり、吸湿性が高くなり病気の発生が多くなる。また根群の網が芝生の表層に発達して、根系がやがて逆に退化し、養分、水の吸収能力が低下する。人とか管理機械の過剰踏圧によって芝生の表層土壌は、固結化し、根系の退化、透水性の不良化、土壌の通気が悪化する。このような状態は、造成後2〜3年位からみられるので、表面を著しく破壊することなしに、土壌を膨軟にしたり、穴をあけたり、過剰なサッチを除去したりして、ターフの健康状態の改善につとめるために更新作業を行う必要がある。

(1)サッチの蓄積
サッチは次のような障害をもたらす。
1 吸湿性が高くなる。
2 透水性、通気性を阻害する。
3 耐乾性が低下する。
4 病害虫の巣になる(フザリウムパッチ、ダラースポット、ブラウンパッチ、ピシウムブライト)
5 肥料、薬剤の浸透が悪くなる。
6 ミミズの発生がふえる。
蓄積の誘因として
1 チッソ肥料の過剰施用。
2 過度の散水、とくに頻度、量が多い。
3 目土をしない。
4 刈屑を除去しない 5 エアレーション、バーチカットをしない。
6 排水不良土壌とか酸性土壌。
7 刈込が不定期である。

(2)根群網の形成

(3)土壌微生物相の変化。
土壌微生物相の変化は、次のような障害をもたらす。
1 有機物が分解しにくくなる。
2 肥料の分解が悪くなる。
3 有害な細菌類がふえる。
4 pHが低下する。
5 根の発育がにぶくなる。

(4)土壌の固結
土壌固結によっての芝生への影響は次のようである。
1 根の生育が衰退し、芝生が薄くなる。
2 通気、透水が悪化する。
3 肥料、種子が流亡しやすくなる。
4 罹病率が高くなる。
5 土壌中の酸素が減り、炭酸ガスの濃度が高くなり、根の生理機能が低下し、徐々に衰退する。
6 土壌微生物相が変化し、肥料・有機物の分解がにぶくなる。

更新の方法

@ 芝生面の表層通気(パワーレーキング、ブラッシング、サッチング)
 A 土壌通気(エアレーション、スパイキング、スライシング)
 B サッチの除去(サッチング、パワーレーキング、バーチカッティング)
 C 目土および施肥による表層土の改良
 D 石灰施用による土壌酸度の矯正
 E 日陰、通風などの立地条件の改善

オーバーシーディング

芝生が年間を通じて緑色を保つことは万人の望むところであるが、バミューダグラス、ティフトン、日本芝は冬に地上部が枯れて休眠する。そのため、芝生の景観はもとより、スポーツターフでは競技上種々な品質の低下をきたす。
 オーバーシーディングは秋に暖地型芝草の上に寒地型芝草を播種し、冬期でも緑の芝生をもたらす方法である。

オーバーシーディングの方法

@ 播種前の事前準備
1 サッチの除去
2 土壌固結の改善
3 追肥の中止

A 方法
1バーチカッティングと低刈り
2 基肥施用
3 殺菌剤の散布
4 播種
5 目土施用
6 マット引き
7 カバーかけ

B 播種後の養生
1 散水
2 追肥
3 刈込

(4)利用管理

公園芝生地の利用管理計画

公園芝生地の生育実態は過剰利用の状態にあり、90%近くの芝生地が供給開始後1年以内で損耗、裸地化あるいは雑草地化しており、著しく荒廃している状態である。

【利用管理の方策】
● 収容力の設定
 芝生地の利用規制、あるいは芝生地の計画面積策定等の目安数値。
● 利用内容の制御
 芝生の健全性維持のためには利用者数だけではなく、利用内容すなわち芝生の損耗におよぼす影響の著しい種類のスポーツ、遊戯の利用の制限をすることも必要。
● 芝生の閉鎖措置
 過剰利用によって損耗あるいは土壌が著しく緻密化した場合、芝生地の健全性を回復するため一定期間閉鎖し、養生することは維持管理対策上、当然の措置といえる。
● 耐踏圧性を高めるための育成管理の実地
 利用管理対策の一法として踏圧に対する耐性がつくような状態に芝生を育成管理することが考えられる。
● 養生期間を十分にとること
 芝生造成後の供給開始までの養生期間を十分にとること。

競技場の利用管理計画

競技場における芝生の利用管理計画では、芝生を致命的に損耗することなく、利用に供するための年間当りの適正な利用日数(試合数)を設定することが要件となる。
●サッカー競技を主体とした競技場の年間の使用日数は、概ね40日以下に抑えることが望ましいと判断される。なお、雨天における使用は芝生を著しく損耗するので、極力避けることが望ましい。
● ラグビー競技を主体とした競技場の年間の使用日数は、試合数については概ね30日以下、50試合以下に抑えることが利用管理上の1つの目安となる。

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